今回は、「小学生のうちに身につけておきたいこと」第5弾です。

ボールを持っているとき、目の前に相手DFが寄せてきた…右足から左足にボールを切り替える、DFがついてきたからまた反対の足に切り返す…を繰り返し、結局ボールを奪われてしまったり、2人目3人目に囲まれてしまってボールを奪われたりしている光景を見たことはありませんか?

右足しか蹴れない子どもが、目の前にDFが来たから左足に切り返す…しかし、左足が蹴れない、左足が使えないからそのまま相手に背中を向けてしまい、クルクルと回ってしまう…それで相手に囲まれてしまってボールを奪われてしまう…。

これらの工夫を見て、「うまい!」とか、「おもしろい!」と評価しておられませんか?人によっていろいろな評価があってよいと思いますし、いろいろな価値観があってよいと思います。

しかしながら、これらの現象は、子どもたちがプレーの本質を理解できていないために起こる現象ですので、いずれにせよ最終的にはプレーが苦しくなるように感じています。

今回は、これを切り口に考えてみたいと思います。



<「小学生のうちに身につけておきたいこと」シリーズの他の記事へのリンク>

小学生のうちに身につけておきたいこと①

小学生のうちに身につけておきたいこと②

小学生のうちに身につけておきたいこと③

小学生のうちに身につけておきたいこと④


ボールを持っているときの目的は何ですか?

ボールをもっているときの目的は何でしょうか?

そうです!「ゴールを奪うこと」です。ゴールまでまだ遠いところ、ゴールが奪えないところでの攻撃の目的は何でしょうか?「ゴールへ向かうこと」、「ゴールへ近づくこと」ですよね?

これは、誰もが理解されていることではないでしょうか?

しかし、子どもたちはしばしばこのプレーの目的を忘れてしまいます。例えば、ゴール付きで1対1の練習をやってみてください。何も言わずにプレーを見守っていると、子どもたちはだんだんと目の前の相手を抜くことが目的にすり替わってしまったり、目の前の相手にボールを奪われないことが目的にすり替わってしまったりすることはないでしょうか?

特に、小学生の子どもたちは、なかなかサッカーの本質、プレーの本質が理解できていなかったり、習慣化できていなかったりします。だからこそ、私たち指導者がそこを適切に導いていく必要があると思うのです。


プレーの本質って何でしょうか?

「プレーの本質」って何でしょうか?

私は、「プレーの最後はキックで終わる」ことだと定義しています。サッカーにおいて、攻撃の目的が「ゴールを奪うこと」である以上、ボールを持っていて、ドリブルでプレーが終わってしまっていては、いつまでたっても「ゴールを奪うこと」はできません。

ドリブルで、最後まで持っていき、ゴールキーパーもかわしてゴールに到達できればいいのですが、なかなかそれはできないのではないでしょうか?

そう考えると、「プレーの最後はキックで終わる」ことがポイントになります。さらに、キックも横や後ろよりも、ゴールの方向に近づいていくことが重要です。なぜならば、横や後ろへパスをしているだけでは、ゴールに近づくことができず、いつまでたっても「ゴールを奪う」という目的を達成することができないからです。

このように整理していくと、ドリブルも「(ゴール方向、前方に)蹴るために運ぶ」ことがとても重要になります。

ここで、再度整理しますと、「プレーの最後はキックで終わる」こと、なおかつ、そのキックは「ゴール方向(前方)」に向かうことが「プレーの本質」と私は定義しています。

そう考えますと、冒頭でお伝えした現象…


ボールを持っているとき、目の前に相手DFが寄せてきた…右足から左足にボールを切り替える、DFがついてきたからまた反対の足に切り返す…を繰り返し、結局ボールを奪われてしまったり、2人目3人目に囲まれてしまってボールを奪われたりしている光景

右足しか蹴れない子どもが、目の前にDFが来たから左足に切り返す…しかし、左足が蹴れない、左足が使えないからそのまま相手に背中を向けてしまい、クルクルと回ってしまう…それで相手に囲まれてしまってボールを奪われてしまう…。



これらの現象は、「プレーの本質」を理解できていない、もしくは「プレーの本質」を実行できるテクニックがないことが原因です。

この「プレーの本質」をしっかりと理解し、しっかりと身につけた上で、「応用」テクニックに進んでいきたいですね。


では、「切り返し」ではいけないのか?

では、「切り返す」というプレーはしてはいけないのでしょうか?

そんなことはありません!

ここまで押さえてきた「プレーの本質」から考えますと、右足から左足に切り返したときに、左足で前方に蹴れるところにボールを置くことができればよいと思います。

当然、その場合は左足が蹴れることが前提となります。

そう考えますと、右足から左足に切り返すことよりも、まず身につけた方がよいのは、右足から左足に切り返すふりをして、さらに右方向に運んで右で前方に蹴れるところにボールを運ぶことかもしれません。

こういった部分を深く考え、しっかりと整理せずに指導してしまったがために、子どもたちが将来困るようなクセをつけさせてしまったことが、私の過去の指導にもありました。

まずは子どもたちが困らないように、そして指導者の方々が私のような失敗をしないように、こうしてシェアさせていただくことにより、考えていただくきっかけになれば、私もうれしく思います。


小学生のうちに身につけておきたいこと⑤「簡単に切り返さない」のまとめ

私が子どもたちと関わらせていただくのは、わずか数年かもしれません。

しかし、子どもたちがサッカーと関わるのは、きっともっと長い時間になります。それにもかかわらず、私が指導したことが、子どもたちに伝わったこと、子どもたちが身につけたことが、これから先のサッカーライフのベースとなるのです。

私が間違ったことを伝えたり、将来困るようなクセをつけさせてしまったりすれば、困るのは子どもたちです。

これまでの指導経験の中で、私の学び不足から子どもたちに迷惑をかけていることは、私が気づいていないことも含めて、非常に多くあると思います。しかしながら、私にできることは今を変えることにフォーカスして行動していくしかありません。

こうして、私の失敗をシェアしていくのも、その行動の1つです。

私たち大人が子どもたちと関わるということは、子どもの将来に触れているということです。私が偉そうに子どもたちに「あれをやれ!」、「これをやれ!」と指示していれば、それを見て育った子どもたちは、自分が大人になったときにそう行動するでしょう…。

私たち指導者、私たち大人は、子どもたちにいつも見られています。「誰も見ていないから…」と自分への甘さから行動していると、実はそれをしっかりと見ているのです(汗)。私は、それを子育て、自分の息子たちの姿から、嫌というほど教えてもらいました(苦笑)。

私たち指導者、大人は、子どもたちの「鏡」です。

私は、人格者でもありませんし、まだまだ不足だらけの未熟な人間だと思っています。しかし、周りの人や私に関わってくださった方のお役に立ちたいですし、できれば「応援される人」になりたいです。まだまだ、そこまでは程遠いですが、子どもたちと一緒に学び、一緒に成長を目指して行動していくことにより1歩ずつ近づいていけると確信しています。

大人にとって、子どもたちの存在はそれだけ大きいと感じています。なぜなら、子どもたちは私の「鏡」だからです。その「鏡」から目を逸らすことなく、これからも少しずつ進化し続けたいと思います。

この記事が誰かの役に立てますことを、心から願っております。




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小学生のうちに身につけておきたいこと①

小学生のうちに身につけておきたいこと②

小学生のうちに身につけておきたいこと③

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