私は、ある方からご縁をいただき、特別支援学校でサッカー教室をした経験があります。記憶では、大学2年生頃から4〜5年間ほど、やらせていただきました。その経験から、とても大切なことを学びました。

自閉症やダウン症など、子どもたちの障がいによって、様々な課題がありました。活動の見通しが立たないと安心して活動できない子ども、指示が通らない子ども、実際に動く様子を見せてイメージできれば指示が通る子ども、できそうにないと座り込んで動かなくなってしまう子ども…いろいろな状況があるということを学びました。

その中で、今も私の考えの軸になっているものを、子どもたちと一緒に活動していく過程で授けてもらいました。

今回は、そのことをみなさまにシェアさせていただきたいと思います。



ゴールを決めるという行動から、「ゴールを決めたい!」という欲求が膨らんでいく!?

初めて特別支援学校サッカー教室を行なったとき、参加してくれた子どもたちは、「サッカーはボールを蹴ること」と思っていたようでした。

それは何ら間違いではありません。しかし、1つ困ったことが起こりました。

それは、1つの活動に対して、「始めと終わりが明確でないと行動が起きない」ということでした。具体的に言うと、四角や丸のグリッドを作って、「この中でなかまやボールにぶつからないようにドリブルしよう!」と伝えても、「どこに動けばいいのか?」がわからないのです。

そもそも、どうやったらその行動が終わるのかがわからないのです。

今まで考えたこともなかったことにぶつかり、私自身どうしていいかわかりませんでした。そこで、「ゴールに入れることを終わりにしてみたらいいのではないか?」というアドバイスをいただきました。

「シュート練習」として、行動の始まりをマーカーコーンからドリブルをスタートすることに設定して、行動の終わりをゴールにシュートを入れることに設定したら、できる子どもたちが増えていきました。ゴールに入らなかったときはどうすればいいのか?という次の課題も出ましたが、それをきっかけに子どもたちが少しずつ活動を楽しめるようになっていったことを思い出します。

そして、毎回の活動に必ず「シュート練習」を入れて、継続して行っておりました。すると、だんだんとゴールを決めることが目的化してきました。ゴールが決まったら、コーチと「ハイタッチ」をするという行動をセットにしてみました。中には自分で「ガッツポーズ」をする子どももいました。

こうして、ゴールにシュートを入れて「ゴールネットを揺らす」という行動と、「ハイタッチ」や「ガッツポーズ」をしてうれしさや喜びの感情を表現するという行動がセットになると、「ゴールを決めたい!!」という欲求が高まっていったように感じております。

発達段階によっては、うれしさや喜びを表現できない子どももいましたが、それでもゴールに入れるという終わりの行動までしっかりとこなしていました。


子どもが欲求を感じて行動するのを、大人が先回りしてはいけない理由

そんな経験をしたからこそ、私は「子どもが欲求を感じて行動する機会」を大人が先回りして奪ってしまうことはいけないことだと強く感じるようになったのではないかと思っています。

私がキッズスクールで心がけていることは、まさにコレです!!

時々、ミニゲームで得点したのに子どもたちが喜ばないシーンがあります。理由は様々だと思います。1つ私が思うのは、よろこびを表現する方法をしらないのではないかということです。言い方を変えると、大声でよろこびを表現してはいけないと思っていたり、どこか自分の気持ちを押さえてしまっていたりすることです。

そんなときは、私が代わりに大声でよろこんで見せたり、「よろこんでいないのでゼロ点〜!」と冗談を言ってみたりします。すると、子どもたちはよろこんでもOKと許可をもらえたことを確認でき、どんどん自分の気持ちを表現していくように変わっていくのを感じています。

しかし、ここで「よろこべよ〜!」とか、「よろこばないのはダメ!」とうれしさやよろこびを強要するのは違うと思うのです。

そもそも、ゴールを決めることが自分にとってうれしいことになっているでしょうか?

この気づきを得てから、ハードルを下げて簡単にゴールが入るような活動をたくさん行うようにしました。すると、多くの子どもたちが「ゴールを決めたい!!」という欲求が高まり、ミニゲームでもどんどん攻めていく子どもが増えて行きました。

こちらが先回りして子どもたちの欲求を消さないように、邪魔しないように活動していくと、子どもたちの方から積極的に行動するようになっていきます。


お子さまは、自分の欲求を感じて、自分でことばにできますか?

かなり昔のことになりますが、自分の思いや考えをことばにするのが苦手な子どもたちに出会いました。その子は、小学2年生、3年生くらいだったと思います。

その子のお母さんが「うちの子は、自分の思っていることを話すのが苦手で…」と言っておられました。

そんな子どもさんの様子やお母さんの様子を見ていると、いつもその子のかばんをお母さんが持っておられました。「水筒はここに入れてあるからね!あと、汗をかいたらタオルがここに入っているから自分で拭くんだよ!」と伝えておられる姿を目撃したことを覚えています。

お母さんのお子さまを心配される気持ちや、その子のためを心から思っての行動であることは、すご〜くわかります。しかし!!です。

きっと、この子は自分でかばんの準備をしていないでしょう…もし、たまたまその日が寒くてジャンバーが着たいと思ったとき、かばんの中にジャンバーは入っていません。そのとき、おそらくこう思うのではないでしょうか?

「お母さんが入れてくれなかったせいだ…」

もともと、お母さんが先回りなさって、「寒いから今日はジャンバーを着なさい!」と子どもがそう感じる前に行動してしまえば、その子は何も感じ取れなくなるのではないでしょうか?


うちの下の子は小学2年生なのですが、「お母さん、今日は暑い?寒い?」と毎朝聞いています。どの服を着ればいいか?何枚来たらいいのか?わからないからです。完璧主義な面がある下の子は、失敗が苦手です(苦笑)。親としては頭をかかえてしまいますが…。

「外に出て確かめてみたら??」

それでも、下の子は悩むことがありますが、少しずつ自分で決めることができるようになってきました。なかなか日々忙しいと、こうしたこともこちらがさっとやった方が速いので、やってしまいます。しかし、それがもしかしたら、その子の成長のチャンスを少しずつ小さくしているとしたら…進化ポイントになりそうですよね?

お子さまは、のどが渇いたとき、自分から「お茶が飲みたい!」と言えますか?何か遊びたい遊びを見つけたとき、「お母さん、これを一緒にやりたい!」と言えますか?

自分の意志を伝えることができる前の段階として、自分の欲求を自分で感じられる体験を積み重ねていくことが大切ではないでしょうか?

その体験が少ない段階で、サッカー(習い事)をやりたいのか?やりたくないのか?という決断はなかなか難しいかもしれません。

自分の気持ちをことばにするのが苦手なのではなくて、まだ自分を気持ちを感じるという体験が少ないだけかもしれません。自分の気持ちを感じられる力は、高学年になったり、中学生になったりしたときに、とてもポイントになるそうです。

ぜひ、焦らずにお子さまと一緒にその瞬間を味わいながら歩んでいただけたらと思います。また、うちのキッズスクールでは、こうした部分を大切にしながら活動していくことを忘れないようにしたいと思っております。

お子さまは「お茶が飲みたい!!」と自分で言えますか??のまとめ

私も経験があるのですが、子どもを保育園に連れていくのに、朝の時間は「時間との戦い」になります。そんな中で、子どもの行動を先回りすることしないようにすることは、なかなか難しいですよね?

また、家に帰ってからバタバタとご飯を作っているときに、子どもたちから今日あったことを話されてもなかなかしっかりと聞けないですよね?

しかしながら、そういったほんの些細なことが、お子さまの成長のきっかけを広げていくのではないかと感じています。上の子どもにそういった時間をしっかりつくることができず、後で「取り返す」ことが必要になってしまいました。

今となっては、とても後悔しておりますが、そのときは全く気づくことができませんでした。

だからこそ、みなさまにお伝えしたいのです。

「お子さまは、のどが渇いたとき、お茶が飲みたい!」と自分で言えますか?「お母さん、何か飲み物はある?」と自分で聞くことができますか?天気予報を見て、雨に備えて着替えを自分でかばんに準備できますか?

お子さまの年齢や発達の段階によって、要求していくことは変わっていきます。しかし、お子さまが自分でできることが1つでも増えてほしいという親の願い、成長して毎日楽しいで生活してほしいという親の願いは、みなさま同じなのではないでしょうか?

私自身、子育てでたくさん失敗してきましたが、気づいたときにすぐにやり直せば、変えていけば、必ず好転していきます。もう遅いということはないと思います。

この記事を見てくださった方が少しでも何かの気づきのきっかけになったり、心が軽くなったりするきっかけになったりすることを願っております。