これまで、およそ20年間の指導者としての取り組みを続けてきた中で、たくさんの子どもたちと関わらせていただき、指導に当たらせていただきました。私の指導力の不足で、もっとうまくなるきっかけをつくることができたという心残りを何度も感じ、反省を生かして自分の指導を書き換えながら続けてきました。

その中で、中学生や高校生になった子どもたちのプレーする姿から、よくないプレーの習慣があるがために、うまくプレーできなかったり、成長できなかったりしている様子を見て整理し続けてきました。また、先輩の指導者の方々から教えていただいたり、学んだりしたことを実践しながら整理し続けてきました。

今回は、現在の私の中で整理できていることで、みなさまのお役にたてそうなことをシェアさせていただきたいと思います。




<「小学生のうちに身につけておきたいこと」シリーズの他の記事へのリンク>

「小学生のうちに身につけておきたいこと②」「ボールと一緒に動くこと」

「小学生のうちに身につけておきたいこと③」「ファーストタッチからゴールをねらうこと」


ボールを扱う技術を身につける際に、とても重要なこと

ボールとの距離が重要!!

これは私の師匠に教えていただいたことです。
自分とボールとの距離を適切に保って技術を発揮していくということです。

速さや力強さに目がいってしまうと、見逃しがちになる要素です。この「ボールとの距離」という要素は、身体が大きくない子どもたちや身体能力が高くない子どもたちにとっては、生命線ともなる要素だと捉えています。


転がってきたボールをダイレクトでシュートする場面を思い浮かべてみてください。

焦ってしまって、自分から遠いところでキックしてしまうと、シュートがしっかりミートできず、弱いシュートになってしまったり、コースを外してしまったりすると思います。

また、自分に近すぎるところでキックしてしまうと、つまってしまってシュートがダフってしまったり、ボールがもつれてゴールに飛ばせなかったりすると思います。

自分に合った適切な距離(位置)でキックすることが、より正確により力強いシュートを打つことにつながります。

キックだけでなく、コントロール(トラップ)も、ドリブルも、ターンも、ボレーも、ヘディングもすべての技術(テクニック)について、この「ボールとの距離」という要素は非常に重要なポイントとなるのです。


「ボールとの距離」を身体操作の面から考えてみましょう!

身体操作の観点から考えると、「ボールとの距離」という要素はどう考えたらいいのか?

それは、自分の「体幹軸」に近いところでボールを捉える、ということになります。

「体幹軸」を説明するのは難しいですが、簡単にいうと、自分の両肩と左右の股関節を囲んだ範囲のことです。イメージしにくい場合は、頭のてっぺんから踵(かかと)までまっすぐの串を刺す…その串を「体幹軸」だとイメージしてください。

例えば、相手の選手と自分が転がっているルーズボールを競り合って、何とかマイボールにしたいという場面を想像してみてください。

遠くから自分の足を伸ばして爪先からボールを触りにいくと、どうなるでしょうか?

先に早く触ることができればマイボールにできるかもしれません。しかし、足先から伸ばしていき爪先でボールを触るということは足先だけが前に行き、自分の身体がその位置(後ろ)に残ると思います。そうすると、仮に先にボールを触ることができたとしても、次のタッチでボールを触るのが難しくなってしまい、結局相手にセカンドタッチでボールを奪われてしまう可能性が高まります。

身体の大きい選手や身体能力の高い選手は、これをうまくごまかせるかもしれません。しかし、小学生のうちはそれで何とかなるかもしれませんが、中学生、高校生となると、まわりの選手も身体が大きくなったり、身体能力が高まってきたりしますので、うまくいかなくなる時期がやってきます。

だからこそ、小学生の間に、自分の「ボールとの距離」を理解し、しっかりと身につけておく必要があるのです。


鬼ごっこでも、自分の「体幹軸」への意識が重要になります

自分の「体幹軸」に近いところでボールを捉える、とはどういうことなのでしょうか?

サッカーの経験がない方にも共有していただけるよう、鬼ごっこの場面を想像してみてください。自分が鬼となって、なかまを追いかけます。なかまに近づけてあと3〜4mのところです。そこから、多くの人が手を伸ばしてタッチしようとしながら追いかけるのではないでしょうか?

実は、これをやってしまうと、減速してタッチができなくなってしまう確率が上がってしまいます。人間の身体は、手先や足先を先に伸ばすと、「体幹軸」はそのまま残ってしまい、移動にブレーキをかけてしまうような構造になっているそうです。

もし、鬼ごっこで真剣に相手をタッチしたいのであれば、自分の手が1発で確実に届く距離までは、しっかりと走り、タッチが届く距離まで近づけたらパ〜ンと1発でタッチするのが確実です。

このタッチが届く距離というのが、サッカーの技術を確実に発揮できる「ボールとの距離」というイメージになります。

小学生のうちに身につけておきたいこと①のまとめ

指導者の方やサッカーを経験したことのある方であれば、自分自身で意識してやってみるのが、1番理解しやすいのではないかと思います。

ごくごく簡単に整理すると、自分の歩幅でボールに触れるということです。これを意識するためには、ゆっくりとジョギングしながらプレーするくらいのプレースピードでやると感じ取りやすいと私は実感しています。

ぜひ、みなさんもやってみてください。

そして、今現在の私の課題は、この「自分の距離」を浮き球のプレーでも、子どもたちに理解して身につけさせていくことです。

浮いたボールをコントロールする、ボレーで弾く、ヘディングで跳ね返すなど、浮いたボールを正確に扱う技術は、難易度がさらに上がります。なぜならば、転がっているボールを処理するときよりも、片足で立つ時間が長くなり、自分の体幹軸のバランスを保つのが難しくなるからです。また、転がっているボールがくる位置を認識するのは、それほど難しくないですが、浮いているボールや弾んでいるボールの落下点を認識するのはとても難易度が高いからです。

日々の活動や遊びの中で、キャッチボールをしたり、野球をしたりなど、小学生の時期に最も伸びると言われている「空間認知能力」がどれほど刺激されているかに、大きく影響を受けます。

小学生から、中学生に上がってくる子どもたちのプレーぶりを見ていると、この浮き球を正確に扱う技術が不足している子どもたちがたくさんいます。それも、ただ単に経験不足、やってきている数が少ないだけです。

1つ誤解のないようにしていただきたいのは、自分の「ボールとの距離」を身につけるのは、中学生になってからではだめということではないということです。いつから始めても、やり直しても、遅いということはありません。ただ、小学生のうちの方が、初心者から始める方が身につけやすいだけのことです。

中学生になると、第2次成長期に入り、身体が大きくなったり、筋力が上がってきたりしてくる子どもたちが出てきます。そうすると、今までの自分の「ボールの距離」と感覚が変わってきますので、再度修正が必要になってきます。そういった子どもたちのために練習の中に、「ボールの距離」を意識してプレーできるメニューを入れたり、声かけをして意識させたりしていく必要が出てきます。



ぜひ、この記事をシェアしていただき、小学生のうちによりよい経験を積んでいただくきっかけになればと思います。それによって、中学生になっても高校生になってもよりサッカーが楽しめるようになり、もっとうまくなりたいという「やる気」が高まっていく子どもたちが増えていくことを願っております。

この記事が誰かのお役に立てますことを願っております。




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