「心が折れやすい」人…これは、紛れもなく過去の私です。そんな私だったからこそ、みなさまにお伝えできることがあると感じて、発信を続けています。

そして、今私がわかっていることは、心は強い、弱いというものではなく、誰でもメカニズムを理解して実践をすれば、整えることができるということです。

つまり、私たち大人が心のメカニズムを理解していれば、「心の折れにくい」子どもたちを育てることができるということです。

今回は、私自身への戒めも込めながら、大切なことをみなさまとシェアさせていただきたいと思います。


結論、子どもたちに「二軸の価値観」を植え付けてはいけない!!

過去の私は、すごく失敗することを避けようとする心を持っていました。「失敗は成功の元」ということは頭では理解していたのですが、どうも自分が考えていることと、実際に行動することが一致しないのです。すごく悩んでいましたが、誰にも打ち明けて相談することもできず、生きづらさを感じていました。

こんな私が変わるきっかけをつかむことができたのは、心のメカニズムを知ったときでした。

「自分の心を思い通りにコントロールするには、自分の脳を攻略しなければならない」

これを知ったとき、「えっ!?どういうこと??」とぽか〜んとしました。私は、成功しなければならない、だから絶対失敗してはいけない…という気持ちがどんどん強化されてしまって、自分が決めたことをやらない自分になってしまっていました。

なぜ、そんなことになってしまったか?

それは、成功/失敗という二軸で物事をながめるクセがついてしまっていたからです。つまりは、私の目の前で起こることを「○」か「×」か、「白」か「黒」かで見ていたのです。そうなると、うまくいかなかったことは全部ダメということになってしまい、どんどん消極的になってしまうわけです。つまりは、「折れやすい」心を自分でつくってしまっていたわけです。

これに気づいてから、私と関わってくれる子どもたちにも、「二軸の価値観」を植え付けないように、気をつけるようになりました。

例えば、試合前のミーティングで戦い方の確認をするとき、「こういう考え方、やり方でいこう!」と伝えますが、その後に「でも、サッカーには相手があるから、そんな思い通りにいくことばかりではないよね?もし、相手がこうしてきて、うまくいかなかったら、こう考えようか?」と、うまくいかない前提も準備するように変えてきています。

試合に負けた後のミーティングでも、「ここができていなくて、足りなくて、負けてしまったよね?」と敗因について伝えながら、「でも、ここはよかった、よくなってきているよね?」とよかった面にも目が向くように気をつけるようになりました。

キッズスクールの際も、「○○チームは負けてしまっていたけど、たくさんシュートを打っていたところがよかったから、今度は勝てるかもしれないよ!」、「失敗してしまったけど、ここはよくできていると思うよ!」と、よかった/悪かった、できた/できなかった、という「二軸の価値観」が植え付けられないよう、気をつけながら子どもたちと関わるようになりました。


子どもたちが変わってきたというより、私の中での変化が大きい

自分自身の苦しい経験から気づき、子どもたちとの関わり方を少しずつ変えていくと、当然、子どもたちの様子も変わってきました。

「できない!!」と、すぐに投げ出していた子どもが粘り強くなったり、「やる気」が高まって自分から取り組むようになったり、変化してきたように感じています。

また、中学生くらいになると、負けたことを「人のせい」や「周りのせい」することがかなり減って、負けた試合の中から、次への成長の材料を見つけて、自分で行動を変えていくような子どもも出てきました。

試合での勝利は当然、みんなで目指していますが、勝ち=よい/負け=悪いという価値観が少しずつ広がっていき、勝った試合にも課題はあるし、負けた試合にもいいところはあるということがだんだんとわかってきて、勝ち負けに一喜一憂することが少なくなりました。

そして、こうしたことを丁寧に継続していくと、勝つを目指すもっと先に、自分の成長があるという意識を育てていくことができています。今後は、さらに「自分の成長」というところをより具体的に、自分で持って日々の行動を決めていくことができればいいな〜と感じております。

そんな子どもたちの変化を感じる私ですが、それ以上に私自身が変化してきているのではないかと感じています。

子どもたちと関わっていく中で、私の方が多様な価値観を持たざるを得ないと言いますか、一緒に子どもたちと関わる中で、私の方こそ価値観を広げてもらっている、育ててもらっていることを強く感じています。

いろいろな子どもたちがおりますので、「こうすれば、できるようになる!」というカードを1枚しか持っていないと、対応ができません。クラブに来てくれている子どもたちみんながうまくなるきっかけをつかみ、よりサッカーを楽しんでいくためには、「これでうまくいかなければ、次はこのカードを出す!」、「それでもダメなら、次はこれ!!」と、私自身がカードを3枚4枚、いやもっと持っていないと、子どもたちを成長させることが叶わないのです。

このカードをたくさん持たないといけないということがわかってから、より指導が楽しくなってきました。また、他の人の考え方ややり方に興味がわき、自分のカードを増やすために、より学ぼう、よりやってみようという気持ちが高まってきたと感じています。


「心が折れやすい」人は、カードを1枚しか持っていない!?のまとめ

心が折れやすいのは、自分が行動することで必ず望む結果が手に入る、と思い込んでいるからです。そして、その思い込みに気づいていないのです。

逆に、心が折れにくい人は、そもそも1回の行動で、自分の望む結果が手に入るとは、思っていないのです。最初から、何回も挑戦することが前提なのです。「うまくいかなかったら、〜する!」と予め決めておくことで、実際にうまくいかなかったときに、スムースに次の行動をとることができるのです。

こうして、心の「防御機能」を高めておくと、誰でも変わっていけるのではないでしょうか?

そして、この方法以上に強力なのは、やはり「二軸の価値観」を少しずつ広げていくことだと感じています。日頃の活動から、「二軸の価値観」を広げていくことを積み重ねていくと、心が整っていきますし、何か衝撃があったときの調整力や防御力が高くなり、崩れず行動し続けることができると感じています。

こういったことも、サッカーを通じて、スポーツを通じて…体験からこそ、感じられること、学べることだと考えています。なかなか勉強だけでは得ることができないことだと感じております。だからこそ、1人でも多くの子どもたちが、こうした体験を積んで、成長のきっかけをつかめるように、大人になって幸せな人生を歩むことができるように、これからも環境づくりを行っていきたいと思います。

今回の記事が、誰かの役に立ちますように、誰かに元気や勇気を与えますように、心から願っております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。