今回は、「小学生のうちに身につけておきたいこと」第4弾です。

子どもたちがサッカーをより楽しむため、より長くサッカーを続けていくためには、やはりボールを自分の思うように扱えることが最も重要なポイントの1つだと考えております。

しかし、ボールを扱う=ドリブルと考えてしまうと、大切なことを見失ってしまいます。私も過去このことをわかっておらず、大変な失敗をしてしまったことがありました。

私自身も含めて、子どもたちがサッカーをより楽しむために子どもたちと接したいという指導者や保護者の方が1人でも増えていくとうれしいという思いから、私の失敗談をみなさまに紹介して、子どもたちにとって大切なことをシェアしていただければと思います。




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小学生のうちに身につけておきたいこと①

小学生のうちに身につけておきたいこと②

小学生のうちに身につけておきたいこと③



「分解」練習に気をつけよう!

「ヘディングをできるようにしたい!」、「キックがもっとうまく蹴れるようにしたい!」、「コントロールがもっと正確にできるようにしたい!」など、子どもたちがよりうまくなり、よりサッカーが楽しめるように、指導者も試行錯誤しながら練習を組んでおられることと思います。

私自身もそういった願いを持ちながら、子どもたちの指導に向かっております。

私が大学生のとき、ある中学校で外部コーチをさせていただいていました。そのとき、自分が関わっていた子どもたちの試合での様子を見ていて、ボールを持っても相手の守備のプレッシャーに慌ててしまって、ボールを奪われてしまったり、蹴って逃げてしまったりして、ボールを持つことを楽しめていないのを感じました。

そこで、当時の顧問の先生からお借りした「クーバー・コーチング」のビデオから練習を引っ張り出してきて、ドリブルやターン、フェイントの練習をたくさんやりました。今で言う「ボールマスタリー」をウォーミングアップで徹底して行うことから始めました。

どんな練習かというと、以下のリンクのような感じです。「クーバー・コーチング」も進化を続けているので、当時私が見たものとはちがいますが、イメージ的にはこういった感じの練習を繰り返しておりました。

世界No.1育成メソッド『クーバー・コーチング キッズのトレーニング集』(カンゼン社)

「ボールマスタリー」の練習が上手にできるようになってきたら、ドリブル&ターンの練習やフェイントの練習を加えていき、ミニゲームの中で挑戦するような形をとっていました。こういった形で、「ボールを持つこと」にこだわって練習を続けていたので、試合の中でも相手DFからプレッシャーを受けても、慌てることが少なくなりました。ドリブルで相手の逆をとったり、ドリブルをかけひきに利用したりと試合で楽しんでプレーできる姿が見られるようになってきました。

しかし、これは私の自己満足に過ぎませんでした。
ただし、「クーバー・コーチング」がよくないということではありません。私のやり方が、捉え方がまずかったのです。そこは誤解のないようにお願いいたします。

相手のプレーレベルが上がって、プレッシャーが速くなったり、ボールを中心に密集して守られると、それを打開することができませんでした。当時の私は、「練習が足りないからだ」としか捉えることができませんでしたが、本当は別のところに原因がありました。

それは、サッカーのプレーを「分解」して、「ドリブル(ボールを運ぶこと)」だけを取り出して練習していたことにあります。技術を「分解」して練習すること自体には問題はないかもしれませんが、問題だったのは「分解」したままゲームに戻していたことです。

サッカーのプレーは、どんな局面でも最後は「キック」で終わります。蹴らずに終えたプレーは成功したプレーとは言えません(ヘディングで弾いて終わることもありますが…)。

つまり、「ドリブル」だけを取り出して練習して「ドリブル」はうまくなったけど、ドリブルからキックにもっていく過程は練習していないので、「キック」をせずに「ドリブル」でプレーが終わってしまうのです。「運んで蹴る」ということも練習しない限り、試合で局面を打開するようなプレーはできないのです。

こんな大切なことに気づくまでに非常に時間がかかってしまいました。本当に情けない限りです。当時の子どもたちにはとても申し訳ない気持ちですが、逆に私と同じ失敗をすることがないように、発信していくことで私の大失敗を取り返していきたいと考えております。

ボールを自由に扱える=「○○」+「キック」が重要!!

このことに気づけてから、子どもたちのプレーを観る目が変わり、子どもたちをより試合で楽しめるように導けるようになったと感じております。

プレーの最後は「キック」で終わる。

ビルドアップや崩しの場面であれば、ドリブルからキック、コントロールからキック、ターンからキックなどのプレーです。相手のゴール前であれば、ドリブルからシュート、コントロールからシュート、ターンからシュート、クロスからシュートなどのプレーでしょうか?

指導者の頭の中の「整理」がそのまま指導に出ます。そして、子どもたちに直接影響を与えます。それが指導のおもしろさであり、「怖さ」でもあります。だからこそ、私たち指導者を学びを続け、子どもたちと一緒になって成長していかないと、子どもたちのサッカーを支えることはできません。

これは、頭ではわかっているのですが、簡単なことではありません。

先日も指導現場で失敗してしまいました(汗)。
少し運んでからミドルキックを蹴ることができるようになるために、「ボールの置き場所」をいつもよりも少し遠くに置くことを意識できるように練習をしていました。ある程度できるようになったので、ゲームでどれくらいはっきできるのかに挑戦する場面をつくりました。

すると、守備のプレッシャーがあまりない場面では発揮できるのですが、守備側のチームもミドルキックを蹴らせないように、プレッシャーを速くしたり、2〜3人で集結して守ってきたりしました。そうなると、簡単にミドルキックが蹴れませんので、ダイレクトキックで打開したり、ボールを自分の近くの蹴れる置き場所にコントロールして素早くプレーしたりすることが必要になります。しかし、その練習をあまりしていなかったので、うまくいきませんでした。

プレーの目的や状況によって、自分で「ボールを置き場所」を決めていく、変えていくことが必要なのですが、まだまだそのレベルまで高めることができていないことに気がつきました。私の指導力不足です。

こちらが失敗することなく指導できれば、子どもたちもどんどんうまくなることができます。しかし、私にはそれはなかなか難しいです。だとすれば、「失敗」から気づき、「失敗」から学びながら、子どもたちと一緒に自分もレベルアップしていけばよいと考えています。こちらがレベルアップすれば、子どもたちもよりうまくなれて、よりサッカーを楽しむことができますので、自分の「失敗」をごまかすことなく、真正面から向き合い、よりよい指導ができるように、自分を変えていきたいと日々取り組んでいます。


小学生のうちに身につけておきたこと④「蹴るために運ぶ」のまとめ

子どもの頃に身につけた技術は、将来の「宝物」になります!!

私は、正確なキックはそれほど蹴れませんが、キックの種類には多少自信があります。といっても、公園で通用するような自己満足レベルですが(笑)。右足であれば、インサイド、インフロント、アウトサイド、アウトフロント、ヒールキック…弱いパスや強いパス、スピンボールやカーブボールなど、味方の動きや状況に合わせてパスの工夫をするのが好きです。

これは、小学校のとき、中学校のときに様々なキックの経験を積ませていただいたからです。この経験が私の「財産」になっています。

サッカーのプレーでは、最後は「キック」で終わるということをお伝えしましたが、つまりは「キック」は避けては通れない技術だということです。逆に、「キック」を身につければ身につけるほど、将来の「財産」になるということです。

このことに気づいてから、いろいろな方から「キック」について学んできました。もしよろしければ、私なりに「キック」についてまとめた記事をご覧いただければと思います。

あと途中でもお伝えしましたが、プレーを「分解」して練習したものは、必ずゲーム(ミニゲームなどの相手DFのある練習)の中で、再度プレーをつなげる作業が必要です。これをやらないと、ただ練習したという指導者の自己満足になってしまう…私のような失敗をしないようにしていただきたいと願っています。

1人でも多くの指導者の方、特に小学生や中学生に関わっておられる指導者の方が私と同じように、子どもたちに将来の「財産」=技術(テクニック)を授けて、よりサッカーが楽しめるようになるきっかけづくりを大切にしていただきたいと願って止みません。私もまだまだ学び足りていないことがたくさんあります。一緒になって、子どもたちのサッカーのために取り組んでいきませんか?

この記事が誰かの役に立てますことを願っております。



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小学生のうちに身につけておきたいこと①

小学生のうちに身につけておきたいこと②

小学生のうちに身につけておきたいこと③