カタールワールドカップ2022で、「サムライブルー(男子サッカー日本代表)」は、グループEで強豪ドイツ、スペインに勝利して1位で決勝トーナメントに進出しました。決勝トーナメントでクロアチアに敗れて、ベスト16で大会を終えましたが、素晴らしいパフォーマンスに日本中の人々が応援していました。

また、開会終了後の選手の会見で「最高のチームだった!」という声がたくさんありました。メディアでも連日、「サムライブルー」のチームワークのよさを切り取って報道されていました。

今回は、「サムライブルー」のチームワークへの気づきをみなさまとシェアさせていただきたいと思います。


感謝のつながりを意識した行動を続けること

みなさまも、気づかれた方がおられるのではないでしょうか?

日本代表監督の森保さんの試合終了後のインタービューをお聞きになったことはございますか?森保さんは、インタビューの最初に、必ず会場で応援してくださったサポーター、テレビで応援してくださっているサポーター、「サムライブルー」を支えてくださっている方々など、様々な方々へ向けて、「感謝」のことばを伝えておられます。

カタールワールドカップでの「サムライブルー」の活躍で、連日メディアで取り上げられ、この森保さんの「感謝」についても取り上げられているのも目にすることがたくさんありました。森保さんは、日本代表監督に就任した当初から、この「感謝」をまず伝えるという行動をずっと継続されています。

私は20代の頃、森保さんが現役選手と引退され、サンフレッチェ 広島の育成部門の仕事や日本サッカー協会のナショナルトレセンコーチ(中国地域担当)の仕事をされていたときに、一緒に活動させていただいた機会があります。今から、およそ18年ほど前のことです。その頃から、今と変わらず、周りの方々への「配慮」や「心遣い」、そして「感謝」を大切にしておられる様子でした。当時は、子どもたちを対象に指導されておられましたが、子どもたちにお話される際も、「周りの人が支えてくれていることを忘れないようにしよう!」という感謝について伝えておられたのを思い出します。

私たち運営スタッフが用具を準備したり、ゴールを運んでいたりしたときに、さっと気づいて近づいてこられ、そっと手伝ってくださいました。それがごくごく自然でさりげない様子に、私も森保さんのように周りに気づき、周りの人たちのおかげさまを忘れないように行動していきたいと感じました。

サンフレッチェ広島トップチーム監督に就任されてからも、日本代表監督に就任されてからも、この姿勢は変わらず、どんどん「結果」と「成果」を出していかれる姿をみてきて、応援したい気持ちがどんどん高まっていきました。それと同時に気づいたことがありました。

それは、自分と直接関わりのある方々への「感謝」だけでなく、自分と直接関わりのない方々へのつながりも想像しながら、「感謝」のつながりを大切にしていくことが、自分の望む道を切り開いていく大きな力になるのではないかということです。

ことばで言うのは簡単なことですが、それを心から感じながら、自分の本心からそれを感じ取っていくことは簡単なことではありません。それができた森保さん、「サムライブルー」の選手たち、スタッフの方々だったからこその、ワールドカップアジア最終予選の崖っぷちからの予選突破、カタールワールドカップ本大会での快進撃を実現したのではないでしょうか?


選手どうしのつながりを意識すること

カタールワールドカップにメンバー登録された26名とは別に、トレーニングパートナーとして「サムライブルー」を支えた選手たちの存在があります。ここまでは、メディアで報道されることがあるので、サッカーに詳しい方、情報をしっかりキャッチされる習慣のある方でしたら、すでにご存知のことかと思います。

カタールワールドカップで、「サムライブルー」の選手たちは、「なぜ、こんなに身体を張ってがんばり続けることができたのだろうか?」、「ドイツ戦、スペイン戦で0−1という劣勢で、なぜあきらめずに逆転をして、さらに最後まで失点をせずに踏ん張ることができたのだろうか?」ということがとても気になりました。

チームの勝利のため、国の勝利のために、全力を出し尽くしてプレーしているのだから、当然だとは感じませんでした。これまでのワールドカップも感動しましたが、それとは比べ物にならないくらいのものを背景に感じたのです。

「なぜ、何だろうか?」、「今までと何が違ったのだろうか?」を考えてみました。

それは、「選手どうしのつながり」ではないかということに行きつきました。メディアでも、「サムライブルー」の選手どうしのチームワークがいいとか、雰囲気がいいという話題がありました。そこも感じたのですが、その土台にあるのは、これまでの日本代表の選手たちが育ててきたものをしっかりとつなげていって「ベスト8」という新しい歴史の扉をあけるんだという意志を感じました。

すべてをあげるととてつもなく長い話になってしまいますので、割愛しますが、わかりやすいのは前回大会の決勝トーナメント1回戦ベルギーとの試合です。2−0とリードをしながら、同点に追いつかれて、後半のアディショナルタイムで2−3とされて、逆転負けを喫しました。ここからの積み重ねをすごく感じた今回の「サムライブルー」のパフォーマンスでした。

そして、私個人として大切だな〜と感じているのは、今回の26名のメンバーが選ばれるまでに、ものすごい多くの選手たちが日本代表として選出され、活動して、試合を行ってきたことです。よく「ラージグループ」という表現をされますが、歴代で最も多くの選手たちが日本代表に招集されたのではないかと思います。そんなたくさんの選手たちの代表が今回の26名であり、試合に出場している選手たちはさらに26名の代表です。

厳しい言い方になりますが、「落とされた選手」がたくさんいるのです。それを忘れずに、その選手たちの分まで、その選手たちの思いも背負っていたからこその今回のパフォーマンスだったのではないかと思います。もちろん、各選手たちのがんばりやチームとしての戦術などいろいろな要素はありますが、背景にはこういったことがあったのではないかと推測します。

26名の選手選出を発表する際に、「この瞬間が1番辛い!!」という森保さんの話をメディアを通じて耳にしたことがあります。森保さんのことですから、きっとつらい思いで選手を選び、落としながらも、各選手たちに「感謝」の気持ちを忘れることはなかったと推測しています。

「見えない」つながりが想像できるようになると、強くなれる!!

「サムライブルー」のエピソードは、他にもスタジアムのロッカールームを使用した後に、すごくきれいに片付けをした上で、感謝状と折り鶴を捧げて、「感謝」の気持ちを伝えるということを目にされたことがあるのではないでしょうか?

また、「サムライブルー」のサポーターの方々が、試合終了後にスタンドのゴミ拾いをして、スタジアムをきれいにしていたということを目にされたということがあるのではないでしょうか?

こういった行動は、誰かに「やれ!」と言われてできるような行動ではありません。

試合を見て感動したのか?スタジアム内でのおもてなしに感動したのか?他に何か感動したからなのか?真意はわかりませんが、その場で、何かを目にしたり耳にしたりすることによって、自分の心が大きく動いたから、できる行動ではないかと思うのです。ワールドカップというのは、それくらい偉大なものなんだな〜ということを改めて感じています。

ここから、私はこれを自分の生活にも落とし込めないだろうかと考えてみました。

私はテレビ画面を通じてでしたが、このワールドカップという場で、こんな機会をもらって、こんなに心が動くような『感動』を得させてもらった…こんな体験、経験をさせてもらえることに「感謝」を感じています。そんな「感謝」の気持ちから、自分はどう行動していくことができるだろうか?

それを考えた末のゴミ拾いだったのではないかと想像します。

このように、人間は自分には「見えない」つながりが想像できると、目の前のものの見え方が変わり、行動が変わるのではないでしょうか?

そんな「見えない」つながりが見えてくるような感性を持てるよう、学び続けたいと改めて感じています。


「サムライブルー」から学ぶ、快進撃の背景にあるのはコレ!?のまとめ

森保さんをはじめ、「サムライブルー」から、たくさんの感動をいただき、たくさんのことを学ばせていただきました。その中で、私の心に刺さったのは、「『感謝』のつながり」、「人とのつながり」、「見えない」つながりという3つのつながりを大切にしながら、想像しながら行動していくことです。それによって、非常に困難なことや難しいことにも立ち向かっていけるし、その結果、自分たちにしか、挑戦した者にしか得られないものに出会えるのではないかと思います。

近い将来、きっと「サムライブルー」がベスト16の壁を打ち破ってくれるものと信じております。

私はこのHPを再構築する際に、自分を「内観」する機会をいただきました。その際に私の中で再度確認したことは、私は子どもたちの生活を豊かにして、幸せな人生を送っていけるように、「やる気」の芽が出るきっかけづくりを助け、「やる気」をだんだん大きくして「できること」を1つずつ増やしていくお手伝いをしていくことです。「できること」が増えていくと、自分の望む道に少しずつ近づいていくことができます。そんな「やる気」が高まっていく子どもたちを姿を見て、私はさらに学んでいきたいと思います。またお子さまを見守る保護者のみなさまも我が子の成長を喜び、ともに「やる気」を大切にできるような環境づくりのお手伝いができればいいなと考えております。

そのためには、やはり「つながり」が重要です。私たちがサッカーを通じて成長し続けていくことは、やはり「相手」の存在があって初めてできることです。日々、私たちと対戦してくださる相手チームの存在に「感謝」しながら、お互いにとって「成長」があるようにつながっていきたいと考えております。

間違っても、自分たちにだけ利益があるようにすること、自分たちさえよければいいという態度や言動は、お互いの「成長」のチャンスをなくし、お互いの「つながり」を壊してしまうことになります。そんなことにならないように、「おかげさま」を忘れずに、行動していきたいと改めて感じております。

先日、あるチームと交流させていただきたときの話です。小学6年生の女子選手がおられたので、うちの女子選手たちと一緒にチームを組んで、試合をしてみませんか?とお誘いしたところ、快く引き受けてくださいました。初めは緊張しておられましたが、だんだんと生き生きした表情に変わってきて、ゲームを楽しんでいました。

また、小学2年生が3名おられましたが、なかなか試合機会がつくれないとのことで、8人制のコートの空きスペースに、ミニゲームのコートをつくって、うちの小学2・3年生と一緒にミニゲームを行いました。うちのジュニアユース(中学生)にも手伝ってもらって、みんなでミニゲームを楽しめる環境をつくってみました。終わった後に「楽しかった!」と喜んでくれて、私もうれしい気持ちになりました。

こうした「つながり」は、単に試合に勝った/負けたを越えて、人の心に残るものではないか?と思います。「試合の勝ち負けの賞味期限はその日だけ」と言っておられる方をインターネットの記事で目にしたことがありました。確かにそんな面もあるな〜とはっとしたことを思い出しました。

一方で、あるきっかけで人間の心に残ったことは、ずっと生き続けますし、一旦消えてもまたあるきっかけでよみがえります。私がこうして指導者として子どもたちと関わり続けたいという気持ちも、小学生や中学生の頃に、経験した出来事から心が動いたことがよみがえってきたからです。

だからこそ、「見えない」つながりを大切にしたいですね。「見えない」つながりを想像しながら、私たちに今できることは何だろうか?と自問自答しながら、行動していくことの積み重ねで「今まで見えなかった景色」が見えてくるかもしれません。

この度、「サムライブルー」から得た私の気づきは、私自身にとって、すごく大切なものだったと感じています。まだ、うまく言語化できておらず、わかりやすくみなさまにお伝えできていないと思いますが、少しずつ整理しながら自分の行動に落とし込んでいきたいと考えています。

今までにも増して、長い記事を最後まで読んでくださり、大変ありがとうございました。

この記事が誰かのために役に立てますことを願っております。そして、将来の自分のためにも役立ってほしいと願っております。