私は、ほぼ毎日子どもたちを指導する現場をいただいております。

月曜日は中学生、火曜日は小学生、水曜日は幼児と小学生、木曜日は中学生、金曜日は小学生、土日は小学生と中学生、そして月に数回、幼稚園保育園巡回指導と、幼児から中学生までの様々な年代、様々な発達段階の子どもたちと関わる機会をいただいております。

こんなありがたい機会をいただいておりますおかげで、少しずつですが各年代における指導のポイント、押さえるべきこと、できるようになる段階の順番など、指導の整理にすごく役立っております。

今でこそ、私は自分の指導のやり方や内容について、人に質問できるようになりました。しかし、以前は、自分の「できていないところ」を指摘されたり、自分の「気づいていないこと」を伝えられたりするのは、「恥ずかしいこと」だと勘違いしていて、なかなか人の意見に耳を傾ける行動がとれませんでした。

そんな私でしたが、もっと「学びたい」気持ち、もっと「成長したい」気持ちはしっかりとありました。ただただ勇気が足りなかった、「できていない」自分を受け止めきれなかったのです。

そんな中、私の他にも悩んでおられる方々がおられるのではないかと思うようになりました。また、自分1人で指導されていて、孤独感や不安感を抱えておられる方、相談相手がいなくてつらい思いをしておられる方など、困っておられる指導者がおられるのではないか…と。

そんな方々のために、私が役立てることはないかと考えたとき、私ができるのは今までの指導の経験で私が「失敗」したことをみなさまとシェアさせていただき、「重い荷物」をおろしていただくきっかけをつくり、一緒に学べるような空気感をつくっていくことではないかと思いました。

そんな思いから、今回は私の「失敗」談を記事にしてみたいと思います(前置きが長くなってしまい、すみません<汗>)。



昨日も「やっちまったな〜!!」(汗)

「やっちまったな〜!!」という決め台詞を発する芸人に覚えがある方もおられるかもしれません(笑)。

子どもたちの人格や心を傷つけるようなことは絶対に行ってはいけませんが、子どもたちに指導をしていく中で、「失敗」をしないで、指導力が高まることは100パーセントあり得ません。自分の指導の「失敗」を過度に恐れるのではなく、自分の「失敗」を「よくなるポイント」と置き換えることができることがスタートラインかもしれません。

昨日も、小学生を指導する中で「失敗」をしてしまいました。

1人にボールを1個ずつ渡して、グリッド内でボールを運ぶ練習をしました。その中で、ボールとの距離感をはかったり、ターンしたり、ボールをスクリーンして相手から奪われない持ち方をしたり、いろいろな要素を入れていきました。

その後に、4対4のミニゲームを行うつもりでしたので、このままミニゲームに向かうと、きっとゴールを狙わないだろうと考えました。そこで、運ぶ練習の最後に、グリッドの周りにゴールを6つ置いて、コーチが合図をしたら、素早くゴールにシュートするというルール設定をしました。その上で、子どもたちには「ゴールを狙いながら、いつでもシュートできるところにボールを置きながら運ぼう!」と伝えました。

しかしです!!(汗)
確かに、いつでも蹴れるところにボールを置きながら運ぶことは、それなりに意識できていました。ところが、肝心なシュートの正確さが…不足してしまう要素を私がつくってしまったのです。

子どもたちにとっては、「コーチの合図に対して、できるだけ速く反応して、できるだけ速くゴールを決める」ことを大事にする環境をつくってしまったのです。それによって、顔を上げながらボールを運んで、「顔を上げたまま」シュートをするというプレーが連発してしまい、キックの正確さがすごく落ちてしまいました。

その結果、ミニゲームの入りでは、シュートがほとんど入らない、おまけにパスも不正確になってしまいました。この部分の修正に時間がかかってしまいました。


指導現場での「失敗」談①のまとめ

後で振り返ったとき、最後のルール設定の場面は、必要なかったな〜と考えました。たとえ、ボールを狙わなくなったり、蹴れるところにボールを置く意識が低かったりしても、今までの積み上げがあるので、ミニゲームで修正すればよかったな〜と感じています。

しかしながら、難しいのは、その日の子どもたちの雰囲気やモチベーション、捉え方や感じ方によって、同じことをやっても変わってくるということです。練習の前には、ボールを運ぶ練習の後に、蹴る要素の入るドリル練習をいれようかというアイデアも持っていました。そのようにした方がいい日もあれば、そうでない日もあります。

また、もし私が「子どもたち自身がキックの正確さを修正するという学習のような要素を意図としてを持っていた」としたら、上記のやり方でも「失敗」ではないかもしれません。

実際、指導者の言うことを聞かないと新たな「できる」は身につきませんし、指導者の言うことを聞いているだけではうまくなれませんし、試合で活躍できる力になりません。試合で相手に応じて、状況に応じてうまくプレーしていくため、また成長していくためには、自分で気づく力や周りの様子から気づく力、人から学ぶ力、そして自己成長し続ける力など、様々な力が必要になってきます。

指導者の言う通りに子どもたちにプレーをさせ、指導者の言うことを聞けばうまくなれるような環境をつくっていると、次の環境に進んだ時にはうまくなれなくなります。なぜならば、言うことを聞いて学ぶのは得意になりますが、自分の力で気づいたり、うまくなったりするスキルはほとんど育っていないからです。

子どもたちが、より楽しくサッカーをプレーできるように、より長くサッカーを続けることができるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?

「答え」はありませんが、今の私が気をつけていることはあります。それは、「自分の思うようにプレーしているかどうか」ではなく、実際の子どもたちのプレーや行動の様子はどうなのか?というところをなるべく見逃さないようによく観察する、感じることです。

その意識を忘れないため、壊してしまわないようにするためには、「その練習でうまくする」という考え方を少し自分の外に置くようにしています。少し長い目で見て、長い期間で見て、うまくなればいいのではないかという考えを頭に置いています。これができるようになってからは、子どもたちがうまくならないこと、自分の思うようにいかないことには、「何か理由がある」と感じられるようになり、より目の前の子どもたちの様子を落ち着いて観察できるゆとりができたように思います。

それどころか、練習の中で「まずは自分でやってみる」ということを子どもたちにも要求でき、その挑戦を見て「失敗してしまったけど、今狙っていたことはよかったよね?」とか、「さっきこうしてプレーしたけど、本当は何を狙っていたの?」と、子どもたちとの対話を増やすことができ、子どもたちの頭の中にあるイメージを大切にすることができるようになってきました。これが少しずつできるようになって、私はより指導が楽しくなり、やりがいを感じることができるようになりました。

しかし、ここまで来るのに、すごく時間がかかってしまったことは、これまで関わってきた子どもたちには申し訳なかったな〜と感じています。だからこそ、自分の「失敗」をみなさまと共有して、1人でも多くの子どもたちがサッカーを楽しんで続けることができる環境づくりに役立ちたいと考えております。

この記事が、誰かの役に立てますことを願っております。