うちのクラブでは、年に数回、子どもたちを指導者講習会に参加させていただく機会があります。
指導者ライセンスを取得されたい方々や、指導者の研修を受けられる方々に、うちの子どもたちを指導していただきます。この取り組みはもう10年以上も続けさせていただいています。
その中で、たくさんの気づきや学びをいただいております。つい先日も、そういった機会がありました。
今回は、そこでの気づきをみなさまとシェアさせていただきたいと思います。
人に自分の指導を見られる怖さ
私自身、指導者として歩み始めた頃は、何も失うものがなく、ただただガムシャラに取り組んでいました。「できないで当たり前!」と思っておりましたので、人前でもある程度、平気で指導ができ、失敗も気にすることがありませんでした(笑)。
しかし、いつのタイミングかは覚えていませんが、月日が流れていくとともに、だんだんと人前で指導するのが、怖くなっていく自分がいました。失敗を怖れて、「やらない失敗」を選び続ける自分になってしまっていました。そんな経験を積んだからこそ、今は「やらない失敗」を選んでしまう人間の気持ちがよくわかりますし、どうすれば自信がついていくのかもわかるのですが、当時は本当に自分1人で勝手に苦しんでいました。
自分の指導している様子を見られるのも嫌でしたが、自分が指導している子どもたちを他の指導者の方に指導してもらうのにも少し抵抗感がありました。
これは、自分の指導に自信がなかったからです。そして、自分の指導力不足を子どもたちの姿から見透かされてしまう恐怖を感じていたからだと思います。つまりは、自分中心でした。自分の保身のために、自分のありのままの姿をさらけ出すことができず、自分で自分の成長チャンスを逃してしまっていました。そして、それが子どもたちの成長のチャンスをも奪ってしまっていたと思います。
そんな自分の未熟さによって、本当にたくさんの子どもたちの成長のチャンスを狭めてしまったという後悔と、子どもたちに申し訳なかったという思いを今でも思い出します。そんな苦い経験が今の自分をしっかりと支えてくれています。だからこそ、これから関わる子どもたちには、自分と同じような経験を積まないよう、「やらない失敗」を選んでしまうとどうなるのか?そして、「やらない失敗」を選ばず、自分で決めて失敗から学び、成長する経験を、サッカーを通じて、一緒に積んでいこうと取り組んでいます。
自分の指導の成果ではなく、子どもたちの成長を見極めることが重要!!
みなさまが指導する目的は何ですか?
私が指導者として、子どもたちに指導をするのは、子どもたち自身がサッカーをうまくなり、よりサッカーを楽しめるようになることです。そして、人間として、幸せに生きていける力、自分の思う人生を切り開いていく力をつけてもらうきっかけをサッカーで作り出していくことだと考えております。
だから、私にとって、「指導」は手段でしかありません。子どもたちの成長が1番大切だと考えています。子どもたちが成長すれば、おうちの方も喜ばれますし、お子さまの成長がより楽しみになり、日常の彩りが鮮やかになる…もしかすると、お子さまの成長を見て、自分もともに成長したいと思っていただける方が増えれば、当クラブのミッションの1つである「やる気」のなかまを増やすことにもつながります。
私は、「指導」以外の方法として、コミュニケーションをとりあって子どもたちとお互いに理解を深めることも大切だと感じています。そして中でも1番大切なことは、指導者である私自身が少しでも「変わろうとする姿」や「成長する姿」を見せることです。これが1番大変なことなのですが、1番重要なことだと考えています。私が子どもの頃に、そんな先生や指導者に出会い、イメージを持っているからできることだと思っていて、そんな出会いにすごく感謝をしております。
指導していると、子どもたちが私の言うことを聞いてくれているだけの場合があったり、クラブの活動の中ではできているように見えるだけのときがあったりします。
他人が指導してくださることによって、子どもたちの姿がより深く分析できる機会、成長しているかどうかをより精度高く見極めることができる機会をもらうことができます。
第3者の目が「本質」を捉えてくれる
普段、子どもたちと活動していると、どうしても活動する集団の中に意識が入り込んでしまい、「一生懸命」になってしまいます。「一生懸命」は悪いことではないですが、「一生懸命」になりすぎると、いろいろなことを見失ってしまうことになります。
先月は、攻撃でも守備でも止まらずに連続して動き続けることを継続して積み重ねてきました。私の中では、結構身についていると感じていました。しかし、先日、他の指導者の方に指導していただくと、連続した動きに「理解力」を伴っていない選手が結構いたことがわかりました。
ボールが動いている間に、味方の動きやDFの動きを見て、自分の動きを決めていくことができていなかったのです。この気づきができるのも、他の指導者に指導していただいたからです。
そして、私にとってすごく貴重なのは、第3者の視点で、子どもたちのプレーを見る機会を得られるということです。自分が指導するのではなく、離れたところから子どもたちの様子を観察できる機会は、普段は気づくことのできない情報を得ることができるきっかけになります。
例えば、普段の活動でなかなかプレーが変化できない子どもがいました。しかし、他の指導者が声をかけたらすごく変わったというケースがありました。「何であの子がここまで変われたのだろうか?」と考えながら見ていると、プレーをお手本を見せてくださり、イメージがより明確になったようでした。「あ〜、この子は口で言うより、実際に目で見る方が理解しやすいんだな!」という気づきを得ました。また、ことばの掛け方で変わる気づきをいただいたこともありました。
衝撃事実!?自分ではない人に子どもたちを指導してもらわないと本当の成長度がわからない!!のまとめ
私は、第3者の視点を得られるような機会をいただけるようになってから、自分の成長速度が少し上がったように感じています。
自分の指導力が高まることは、子どもたちを成長させるためにとても重要です。しかし、以前の私のように「失敗」を怖がり、「やらない失敗」を選ぶようでは、子どもたちの成長のチャンスを奪ってしまいます。
私自身がそういった経験をしてきましたので、どうか指導に困っておられる方や悩んでおられる方と関わる機会をつくり、少しでも前向きに指導に関わっていけるように、役立ちたいと感じております。
指導者は結構「孤独」です。そして、子どもたちからの目、保護者からの目、他チームの人たちからの目にさらされますので、それ相応の「プレッシャー」を感じる方も少なくないと思います。「プレッシャー」を楽しもうと言うのは簡単ですが、それってなかなかできることではないと思います。
そんな方とお話させていただくことで、少しでも「プレッシャー」を和らげ、一緒に子どもたちと成長していくなかまとして取り組んでいけると私もうれしいですので、微力ですが私にできることをコツコツとやり続けたいと思います。
今回の記事が、誰かの役に立てますことを願っております。