今年度よりスタートしたキッズスクール

今年度より、「きんすく」「ためすく」(お試しキッズスクール)、「さくすく」(さくらきっずすくーる)の3つのキッズスクールをスタートさせました。7月14日現在、延べ12回のキッズスクールを実施しました。

どのスクールも、対象は、年長・小学1年生・2年生です(3年生の参加も相談に応じさせていただきます)。

キッズスクールを実施する中で、子どもたちから得た気づきがたくさんあります。

今回は、それをみなさまとシェアさせていただきたいと思います。

ゴール(終わり)がわかりやすいものや簡単なものは熱中できる!

「的当てゲーム」…マーカーにボールを乗せて、5mくらい離れたところからキックして当てる

このように、ゴールがわかりやすいものは、子どもたちはとても熱中してやりたがるように感じています。「30秒で何回当てることができるかな?」とか、「5回当てたらコーチに教えてね!」など、競争を取り入れるとより熱中しやすいように感じています。

ここには、大切なポイントが隠されています。
それは、誰でもできるということです。
運動が苦手な子どもでも2〜3回蹴ったら当たるくらいの難易度でやると、みんなが熱中してやるようになりました。

やってみて感じたことは、「できた!」がいっぱい貯蓄できることが大切だということです。運動が苦手な子どもにとっては、「どうせできない…」、「できそうにない」と感じることが挑戦を妨げますし、今までの経験で「できない」というネガティブな経験をたくさん積んできていると思うのです。

そこで大切になるのは、小さな(簡単な)「できた!」という経験をたくさんたくさん積み重ねることだと感じています。そして、そこに「ナイス!」、「できたね!」と子どもの「できた!」を一緒に喜ぶということをセットにすると、どんどんやりたい気持ちが高まっていくと感じています。

すべての活動をこうするは難しいですが、1回の活動で必ず「できた!」を味わえる活動をいれていくように工夫して行っています。特に、1回の1番始めの活動で「できた!」を経験する活動を入れることが多いです。その方が、「次もやるぞ!」、「次は何やるか楽しみ!」という気持ちが湧いてきて、次の活動に入りやすいと考えているからです。

年齢や習熟度によっては、「つまらない〜」となってしまうかもしれませんが、1度考えてみるといい視点かもしれません。

ミニゲームのコートが狭めの方が運動量が増える!?

コロナ禍ということもあり、感染予防対策を兼ねて、屋外で活動することが多いです。しかし、体育館で活動するときの方が子どもたちの運動量がより増えると感じています。

その要因は2つあると感じています。

1つは、この年代の子どもたちにとって、ちょうどよいコートの広さであるということです。今年度初めてキッズスクールを屋外で行ったときのことです。子どもたちがあまりボールを追いかけていけないことに気づきました。それは、この年代の子どもたちにとっては、自分から触れないところにボールが転がっていくと、それは「もう自分のボールではない」と感じるからだと思います。

それがコートが狭くなると、自分からボールに向かって走りさえすれば、いつでも触れそうと感じている様子です。だから、体育館の方が運動量が増え、子どもたちはくたくたになっていました。


もう1つは、体育館には壁があり、ボールが跳ね返ってくるということです。私は、この年代の子どもたちがミニゲームをするとき、ボールがコートから出たら「拾ってきた人のボール」というルールにします。それは、この年代ではまだどちらが出したのかを判断できないこともありますが、それ以上に「ボールを触りたい!!」という子どもたちの本能を大切にしたいからです。このルールでミニゲームを積み重ねていくと、どんな子どもでも「もっとボールを触りたい!」という気持ちが高まってきて、コートから出たボールを拾うことができるようになります。そして、体育館の壁が、「ボール奪い」の子どもたちのバトルをより白熱させてくれます!

コートを広くしすぎると、ボールが扱える子ども、よく走れる子どもが多く活躍するようになります。子どもたちの実態をよく観察しながらコートづくりを工夫すると、みんながそれぞれ楽しめるミニゲームが設定できると感じています。

子どもにもそれぞれ事情がある!ので、それを認めていくことが大切。

初めて「ためすく」を屋外で開催したときのことです。すると、「地面にお絵かき」をする子どもが出てきました。おそらく、私の準備した遊びが楽しくなかったのだと思います(汗)。または、難しすぎたのか?もしかすると、「どうしても地面にお絵かきをしたかった!」のかもしれません。

いずれにしても、子どもたちにも思いがあります。だから、私はこの年代の子どもたちには「お絵かき」で注意はしないようにしています。その代わりに、「○○くん、『お絵かき』が終わったら、また帰ってきてね!」と伝えるようにしています。活動の設定上、危険がある場合は活動場所を移動させるなどの配慮も必要かもしれません。

こうすると、「お絵かきをしたい!」という自分の欲求を満たすこともできますし、帰ってきてくれたときに「○○ちゃん、おかえり!!」と伝えると自己有用感も刺激されると思います。すると、次からの活動をやり続けることができるように感じています。

また、別のケースでは自分の思い通りにいかないことがあって、機嫌を損ねてしまった子どもがいました。「そんな思い通りにいかないこともあるから、それくらい我慢しよう!」とか、「それはもう終わったから切り替えて次がんばろう!」と言ったところで、それは大人の事情なんだなと気づかせてもらいました。休憩のときに「次はミニゲームやるから一緒にやろう!」と伝えて、私はビブスを渡そうとしました。すると、ちょっと乗り気になっていたように感じましたので、ヒュッととれないように高くビブスを上げてみました。すると、おもしろがっていましたので、そうやって何回か一緒に遊びのやりとりをしました。すると、やる気が戻り、ミニゲームにも入ることができました。たまたま、このケースではこれがうまくいきましたが、同じようにやると逆に機嫌を損ねてしまうケースもあるかもしれません。いずれにせよ、目の前の子どもたちの事情や思いをしっかりと受け止めていくこと、認めていくことが大切だと思います。

こういった子どもたちの事情、思いを、無理に大人の事情や都合にあわせようとするとおそらくうまくいかないように感じています。

この年代の子どもたちと関わっていくには、サッカーが教えられることよりも、心を通わせてコミュニケーションをとろうとすること、焦らずのんびりとどっしりとした心構えが大切であることを、子どもたちから教えてもらいました。

なかなか活動に入ることができない子どもには??

これまでもスクールの体験に参加してくれた子どもたちの中に、活動に自分から入れない子どもたちが結構いました。これは無理もないことだと思います。知らないなかまの中に自分から入っていくのは、非常に勇気の必要なことだと思います。また、親から離れて自分1人で活動するのも非常に勇気の必要なことだと思います。

こういった状況で、上級生がうまく関わってくれて活動に入ることができたケースもたくさんあります。しかし、それでもうまくいかないケースもあります。

これまで、私自身も活動に入ることができない子どもたちにどう接していけばいいのか、とても悩んでいました。今現在でも答えはなく、その状況に応じて行動していくしかないと考えております。

この度のキッズスクールをしていて気づいたのは、コーチと一緒に遊ぶこと、プレーすることの大切さです。活動を始める前に、子どもたちとボールを使って遊んでいると気持ちがほぐれて安心できる子どもたちもいるようです。それですっと活動に入れるケースもありました。私は1人で活動にあたることが多いのですが、もう1名進行役のコーチがいる場合は、全体の進行をもう1名に任せて、自分は集団に入れない子どもと触れ合い、一緒に遊んでみるとだんだんとみんなの輪の中に入っていけるかもしれません。

あとは、子どもが1人で活動に参加しなければならないということに捉われずに、おうちの方にも一緒にさんかしてもらうというのもよいかと思います。そうしながら少しずつ慣れていけば自分1人でも活動できるようになるかもしれないと思います。敢えて、親子で参加する活動の場面をつくってみるのもよいかもしれません。

ここで大切なのは、子どもに無理やりやらせないことだと感じています。「やってみたい!」と思って会場まで足を運んできてくれるだけでもすごいと思っています。自分の意志で「やりたい!」と感じて行動してくれたのですから、それをしっかりと認めてあげたいと思います。また、集団の中に入れなかったとしてもなかまの姿を見て、自分もその場にはいてくれているということも認めていきたいと思っています。

無理やりやらされないという「安心感」、どんなことがあっても自分を認めてもらえるという「安心感」など、子どもたちにとってまずは安心できることが楽しさのベースにあるかもしれないと感じています。

キッズスクールからの気づきのまとめ

まずは、「運動が楽しい!」、「みんなで活動すると楽しい!」という楽しさを感じてほしいと思います。「楽しさ」から、いろいろなことに挑戦できる「やる気」を自分からみなぎらせて行動できる子どもたちを1人でも多く増やしていけるようにお手伝いしたいと思います。

しかし、まだ12回ほどしか開催していないキッズスクールですが、その中で様々なことが起こりました。そこから、いろいろなことに気づかされ、子どもたちとの関わり方を学ばせてもらい、私自身も成長させてもらえました。

ここまでのキッズスクールで1番大切だと感じたことは、「受け止める」ということです。

ある日の活動の途中に、「コーチ!もうしあいがしたい!!」と伝えてくれたなかまがいました。私はその後も何種類か活動を準備していましたが、「よしわかった!○○くんがもうしあいしたいって言っているけど、みんなはどうする?」と聞いてみました。すると、「私もやりたい!」と声が上がったので、「じゃあ、片付けてしあいをやろう!」と活動を変更してみました。

すると、その日のしあいはみんなが夢中になってボールを追いかけていました。そのとき、私の中で「やりたい!」という子どもの「やる気」を引き出せたように感じました。

毎回毎回言うことを聞くわけではないですし、わがままを受け入れないことも大切な場面もあるかと思います。しかし、子どもたちの「やる気」をみなぎらせるお手伝いをする人間として、また一緒に活動を楽しむなかまとして、子どもたちの思いや考えを「受け止める」ということを大切にしながら活動していきたいです。

これからもキッズスクールは継続して活動していきます。その中で気づいたこと、学んだことがありましたら、今後もみなさまにシェアさせていただければと思っております。

この記事が誰かの役に立つことを願っております。