私の強みは、小学1年生から中学3年生までの子どもたちと活動した経験がたくさん蓄積されていることです。19歳からサッカーの指導者として歩み始め、およそ20年間の積み重ねで、いろいろな年代、たくさんの子どもたちと関わらせていただき、多くのことを学ばせてもらいました。

時々、「最近、うちの子は言うことを聞かなくて…」、「うちの子は家では好きなことしかしない…」など、子育てに関するお悩みを保護者のみなさまからお聞きする機会があります。その際に、私なりの言葉で少しでも前向きにお子さまに向かっていただけるよう、お伝えするのですが自分の中で自信というか、核になるものがないと感じていました。

サッカーを通じて、子育ての役に立てないかという思いを持ちながら、少しずつ学んでいました。すると、あるとき、「これ、わかりやすい!!」と感じる本に出会いました。

奥山 力さん著の「小児科医が教える 子どもの脳の成長段階で『そのとき、いちばん大切なこと』」という本です。

この本を手に取った理由は、本の帯に「大丈夫!!子育ては、いつからでもやり直せる」というフレーズに心を奪われたからです。私も2児の父親なのですが、当時長男の育て方、関わり方で悩んでいました。長男は自分が「少しでもできない」と感じたことは全くやりませんでした。そんな姿に親として「何とかしてやれないか?」と悩んでいました。小さな成功体験を積むことの大切さはわかっていたのですが、時間を戻すことはできません。

もっと小さい頃にこうしておけばよかった…と後悔や反省が大きくなっていく一方で、時間を戻すことはできないのでどうすればいいのか、悩んでいました。

そんなときに、「子育ては、いつからでもやり直せる」というフレーズにはっとしました。

私のように「もうどうにもならない…」と悩んでおられる方の役に立てないかと思いましたので、今回の記事で子育ての情報をシェアさせていただきたいと思います。

なぜ、子育ては難しいのか?

長男が生まれてきて感動したあの日を今でも覚えています。

しかし、そんなホットな気持ちも、妻と長男が病院を退院して、家に帰ってきてから、一気に現実に引き戻されました。

そうです!!
子育てがスタートしたからです。私より1歩も2歩も先に子育てのスタートを切っていた妻に大きな遅れをとって、私の子育ては始まりました。もしかしたら、長男がお腹にいたときからすでに妻の子育てははじまっていたのかもしれません。

最初、私はおむつすら上手に変えることができませんでした。ミルクの作り方もわからず、妻に聞きながらやっていました。ミルクを飲ませたはいいが、ゲップが出せない…「育児書にかいてあるでしょう!!」と。

確かに書いてあるのですが、どうもうまくいかないのです!!(汗)

育児書に書いてある通りにやるのですが、うまくいかないのです。なぜかと言うと、育児書に書かれている子どもは私の子どもではないからです。育児書を参考にしながらも、目の前にいる私の子どもに合わせて微調整したり、工夫したりしなければならないのです。

今ならば冷静に考えることができるのでわかることですが、当時は余裕がなく、経験もないことでパニックだったのだと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、
この本は、「子どもの成長を経験論ではなく、『子どもの脳の成長』という視点から理解し、目の前にいるお子さんに合った子育ての方法を」、親と子どもたちとの共同作業で作り上げていくことを目指しています。

以下、この本の内容について、ポイントをシェアしていきます。

子どもの脳の成長には、概ね3つの段階がある

奥山 力さん著の「小児科医が教える 子どもの脳の成長段階で『そのとき、いちばん大切なこと』」によると、子どもの脳には、発達する脳の領域に応じて、3つの段階があるそうです。

① 幼児期(小学校入学前まで)
この時期は、何よりも「安心させること」が大切な時期になります。ネガティブな表現を含めた様々な感情を
表に出すことがとても大事です。

② 学童期(小学校高学年まで)
この時期は、ほめて受け取られた経験を通じて、「自己評価を高めること」が大切な時期になります。前提と
して、「自分の話を聴いてもらえる体験」が必須になります。

③ 思春期(小学校高学年以降)
この時期は、ほめられることよりも自分の視点を認められる経験を通じて、「独自の視点でチャレンジする機
会を広げること」を評価していく時期になります。結果を求めすぎずに、「新しいことにチャレンジする姿
勢」の広がりを評価する視点で子どもを見守ることが大切になります。

という3つの段階です。

「楽育」のすすめのまとめ

奥山さんは、この本の中で、「子育て」は大変であり、簡単なものではないとしながらも、「楽育」という視点を持ちながら子育てを楽しむことを呼びかけておられます。

「楽育」とは、「『子どもの脳の成長のメカニズム』を理解し、『子どもの視点』で関わるスキルをたくさん身につけることで、失敗したと思っても大丈夫、ちょっと肩の力を抜いて、気に子育てに関わるしさを感じることができる」という考え方です。

また、奥山さんは、
「子育て」とは、「その子が本来持って生まれたオリジナリティのある自分を、成長しながら気づかせること」とされています。言い方を変えると、「子どもたち1人ひとりが持って生まれた宝物を開花させるお手伝い」をすることです。つまりは、大人のためではなく、子どものためのものだということです。

そして、そのためには、「『子どもの視点』にもとづいた『適切な行動』を考えることが大切ですが、子どものいうことを聴くだけでは逆に子どもにコントロールされてしま」うと伝えておられます。

子どもにコントロールされずに、子どもと適切に関わっていく、子どもの成長につなげていくために、「楽育」の視点が必要なのです。

私自身の子育てを振り返ってみると、
日々の生活に追われてしまって、とても「子ども視点」で関わる余裕がありませんでした。また、「子どもの脳の成長のメカニズム」という子どもの行動や成長を測る「ものさし」もなく、目の前で起こることに対して、自分の主観で反応したり、対応したりするだけで、子どもが成長しているという実感があまり持てていませんでした。

この本に出会い、知識をつけることで、子どもの行動や成長を「ものさし」を通じて、客観的に見られるようになってきたように感じています。すると、「いい」・「悪い」という感覚的なものではなく、客観的に分析することに近づいてきたように感じます。ほんの少しですが余裕ができてきたかもしれません。

できないことに挑戦できないのは、日頃の生活で子どもの話をしっかり聞く時間をつくっていなかったからかもしれない…だから、自己評価が高まらず、挑戦におっくうになってしまうのかもしれないと。まだ学び始めたばかり、実践し始めたばかりですが、少しずつ「楽育」に近づけていき、子どもの成長を楽しみにできればと思っています。

かなり大まかでしたが、子育てに関してみなさまの役に立てるのではないかという内容をシェアさせていただきました。

子育てには正解がなく、悩みがつきません。それなのに、なかなか人に相談することもできない、日々の生活に追われてしまって学ぶ時間をつくることも難しいかもしれません。サッカーを通じて経験してきたことや私が学んだことで、少しでも子育てに困っておられる方々の役に立ちたいと思っています。

この記事が誰かの役に立てることを願っております。