本日12月2日(金)は、歴史的な日になりました。カタールワールドカップ2022のグループEで、ワールドカップ優勝経験国のドイツとスペインを押さえて、日本が首位で予選リーグ突破を果たしました!!

私は、今朝3時40分にぱっと目覚めました。「何だか、今日はものすごい試合が見られそうな気がする!!」と直感で感じました。そして、案の定、この歴史的な瞬間に立ち会うことができたことに感激しております。

しかし、ワールドカップカタール大会で、「日本のグループリーグ突破は難しいのではないか?」という下馬評があがっていました。その中で、私自身も日本を応援していましたが、「ドイツとスペインという強豪国、それもワールドカップ優勝経験国が2つもいる中で、予選突破を果たすのは相当難しいのではないか?」と思っていました。

そんな下馬評を見事に覆し、予選を突破して決勝トーナメントに進出した日本の選手たち、スタッフのみなさんに感動しましたし、勇気と「やる気」をもらいました。

その中、勝利をつかむことができたポイントが2つあることに気づきました。

今回はサッカーの戦術的なことや技術的なことを述べるつもりはありませんし、私には到底理解できないことです。

私の仕事は、サッカーがうまくなるための取り組みを子どもたちと継続していくことによって、うまくなるために必要な心の成長や身体の成長を積み重ねていくことです。それによって、自分の力で幸せな生活を送れるように、自分の思う人生を切り開いていく力を身に付けられるようになってもらうことです。端的に言うと、サッカーを通じた教育ということになるでしょうか?

私にできることは、今回の試合から、これからの自分の生活、人生に生かせるのではないかということを整理してみなさんとシェアすることではないかと考えました。

それを今回はシェアさせていただきたいと思います。


「自分たちにはどうせ無理…」の殻を打ち破る!!

前回のロシアワールドカップ2018で、決勝トーナメント1回戦でベルギーに対して、2点リードを奪うも、追いつかれて後半アディショナルタイムで逆転され、2−3で負けてしまったあの記憶は相当強烈なものではないでしょうか?

あの試合で、「日本は世界には勝つのは難しい」と刷り込まれてしまった印象が個人的にありました。

これがあったからこその気づきがありました。

ドイツ戦で歴史的勝利をあげた後の選手たちのインタビューで、こんなことばを多く耳にしました(「ブラボー!!」ではありません笑)。

「前日に、サウジがアルゼンチンに勝っていたから、自分たちにもできる!!」

こんなニュアンスのことばを口にする選手たちがいました。ここに、人間が成長していくためのヒントがあります。



突然ですが、みなさんは陸上100m男子の世界で、かなり長い間「10秒の壁」というものがあったことをご存知ですか?23年間もの間、陸上100mの男子で、10秒を切る記録を出されることがなかったのです。その間、実際に長い間記録が塗り替えられないこと、マスコミの報道の影響などにより、人々には「人間が100mで10秒を切ることは不可能だ」という考え方が刷り込まれていきました。

しかし、1983年にカール・ルイスさんが、10秒を切る記録を達成しました。すると、2ヶ月後には別の選手がこのカール・ルイスさんの記録を塗り替えました。その後、どんどん記録が塗り替えられていきました。23年間もの間あれだけ無理だと言われていた10秒を切ることが、カール・ルイスさんが実現した途端に、一気に「自分にもできる!!」と意識が変わり、記録が更新され続けるようになったのです。



このエピソードからもわかる通り、「自分には無理!」という思い込みができる可能性を無くしてしまうのではないでしょうか?

実際、日本の選手たちも前日のサウジアラビアの大金星を目の当たりにして、「自分たちにもできるんだ!!」とマインドセットされて、ドイツ戦に勝利しています。

そして、この度のスペイン戦でも勝利して、見事に下馬評を覆して、グループリーグ突破を果たしたのです。ここからの私の気づきは、日本はもしかしたら、「ドイツやスペインには勝てない」という思い込みをうまく利用して、心を整えたのではないかということです。

もし自分がこの日本の選手だったとして、試合が開始される前に、「この死のグループを自分たちの力で予選突破した」という未来の自分たちを想像したとしたら、すごくワクワクすると思うのです。みなさんもそう感じませんか?真実はわかりませんが、日本はそれをうまく利用したのかもしれません。

これを自分たちの生活に置き換えるとすると…
「自分にはどうせできない…」、「自分はこの程度しかできない…」という気持ちが湧いてきたら、一旦はそれを受け止めて、その後に「それができるようになった自分(未来の自分)」を想像してみるのです。すると、少しずつ「やる気」が湧いてくるのではないでしょうか?人によっては「わくわくが止まらない!」という方もおられるかもしれません。

ここで大切なことは、未来の自分になる(目標を達成する)ことが大切なのではなく、未来の自分(目標)に近づくことが大事であるということを間違わないことです。目標の難易度が上がれば上がるほど、達成することは難しくなります。それなのに、目標達成だけにとらわれてしまうと、できないからダメとなってしまいます。

そうではなく、未来の自分(目標)に対して、近づくこと、近づき続けるために行動し続けることが大切なのです。日本の選手たちは、ロシアワールドカップからまさにそういった取り組みを続けてこられたと言えるのではないでしょうか?そして、本当に「ベスト16の壁」を打ち破る手前まで、まさに「近づいて」きたのです。


あと「数ミリの世界」が勝負を分けた!!

こちらの話題の方が、私個人的には心に強く突き刺さっています。

写真はスペイン戦の勝利を手繰り寄せた2点目のシーンです。

田中選手からのパスを堂安選手が受けて、右足のクロス!それに対して、前田選手と三笘選手が最後まであきらめずにボールにつめて、最終的には三笘選手がラインぎりぎりでそれを折り返して、ゴール前につめてきた田中選手が押し込んで生まれた素晴らしいゴールでした!!GOOOOOOOOOAL!!

VAR判定でインプレーが認められて、見事にゴールが認められました。改めてテクノロジーの発展に驚きました。

このゴールには、たくさんの要素がつまっているな〜と改めて感じています。
堂安選手が得意な左足ではなく、右足で精度の高いクロスを上げたこと、
前田選手が何としてでも触ってボールをゴールに押し込もうとしていること、
三笘選手が最後まで止まることなくクロスを上げ切ったこと、
そして、堂安選手に右ペナルティーエリア角で堂安選手にパスを出して田中選手が止まることなく、追い返しのボールに反応していること、
これらがすべて積み重なって生まれたゴールだったと思います。

そして、注目していただきたいのは、選手たちが「あきらめずに最後までボールを追いかけた」ということにとどまりません。注目すべきは、なぜこんな素晴らしいゴールがこんな大一番で生まれたのかというところです。

インスタの記事で田中選手のコメントを見つけました。

「(前略)…入ると信じてやり続けたのがよかったと思いますし、あそこに入ることは(練習で)ずっとやってきていました…(中略)…相手にボールを持たれて、自分たちがやりたいサッカーをやれているというのではないですが、ワールドカップで勝つなかでは最善策ですし、きついグループで勝ち点6を獲れたのは紛れもなく僕らの力です…」

どうでしょうか?
この大一番で発揮するため、1点をとるために、ずっとずっと積み重ねてきたからこそのゴールだったと感じました。「自分たちが勝つためにどう行動するか?」…未来をイメージしながら、「やる気」を「ワクワク感」を高めながらも、現実では地道に「今できること」、「今取り組むべきこと」を地道に積み重ねてきたからこそのゴールだったと感じています。それはドイツ戦もそうです。特にドイツ戦の1点目のクロスからのこぼれ球を堂安選手が押し込んだゴールもスペイン戦の2点目と似ています。

やはり、積み重ねに勝るものはありません。行動を積み重ねていくこと以外に、目の前の道を切り開く方法はないのではないでしょうか?

日本の選手たちと同じレベルの積み重ねは難しいですが、このゴールの意味や背景を子どもたちと共有して、少しでも子どもたちの未来を切り開いていく力をつけるきっかけにできるようなサポートをしたいと改めて感じています。


激闘!!日本vsスペイン、日本が大金星をあげたその理由のまとめ

この度は、予選リーグ突破は個人的にもすごくうれしいことでした。

私が20代の頃に、日本代表コーチの横内さんはナショナルトレセンコーチ(中国担当)をされておられて、一緒に活動させてもらったことがあります。また、日本代表監督の森保さんも現役選手を引退後に、ナショナルトレセンコーチ(中国担当)になられて、一緒に活動させていただく機会が何度かありました。

お二人とも、役職や肩書きで人を分け隔てすることが全くなくて、周りのことにすごく気遣いをされるような方でした。私たち運営スタッフがゴールを運ぶ際などにもさっと来られて一緒に運んでくださるような姿に、自分もあんな人間になりたいと感じていました。

そんなエピソードからこの日本代表を陰ながらですが、ずっと応援してきましたし、心のどこかで「大きなことを成し遂げられるのではないか?」と期待をしていました。それが現実となり、胸が熱くなりましたし、私も自分のできることをもっとがんばろうという気持ちになりました。

まだ道の途中ですが、きっと次の試合も私たちの心に残るものを見せてくださる、与えてくださると信じております。

最後になりますが、やはり最後の最後は、人間力が大切だなと改めて感じました。その中でも、自分の心をどう整えていくか?メンタルともいうかもしれません。困難なことがあっても、どうやって自分の心を整え、行動に変えていくのか?それに尽きるのではないでしょうか?

子どもたちには、これからを自分の思い通りに生き抜くことができる心を身に付けてほしいですし、そのためには私自身が心を磨き続けないといけないです。だからこそ、子どもたちと一緒に学び続けることが大切なんだな〜と改めて、胸に刻み、これからも日本を応援していきたい、子どもたちを応援していきたい、そしてそんな自分も応援していきたいと思います。

今回のこの記事が、誰かの役に立てますことを願っております。