私は小学3年生から、通っている小学校のスポーツ少年団に入って、サッカーを始めました。週3〜4回の活動だったのではないかと記憶しています。自宅から学校は近かったので、自転車または徒歩でサッカーに参加していました。

それは、普通のことだと思っていました。
しかし、自分にも子どもが生まれて、子育てが始まると、それが当たり前にはできない状況に気づきました。

今回は、「自分の足で通う」ということについて考えてみたいと思います。

ある子どもの様子から

その子は、スクールからプエデで活動を始め、ジュニアクラブを経て、ジュニアユースでも3年間活動して卒業していきました。高校でもサッカーを続けていました。

その子を初めてみたとき、自分の体を思い通りに動かせず、ボールを扱うのも難しそうで、とても苦しんでいるように見えました。性格もおとなしくて、このままスクールを続けていけるかどうかも心配してしまいました。しかし、何度か一緒に活動していると、あることに気がつきました。

それは、心にしっかりとした「芯」があるということでした。

できなくてもあまりくじけることがない…話を聞く目つき、アドバイスへの食いつき、挑戦する回数など、向上心がどんどん大きくなっていくことに気がついたのです。

そこから、「なぜ、この子にはこんなに『向上心』があるのかな?」と気になるようになり、いろいろな場面で目がいくようになっていきました。

そこで、あるとき1つのことに気がつきました。
それは、スクールに参加する際に、おうちの方と歩いてこられていたことです。雨の日も、カッパを来てきたり、傘をさしてきたりして、おうちの方と一緒に歩いてきて、参加していました。


保護者の方の送迎から学んだこと

あるとき、その子のおうちの方に話をしてみると、「私は車が運転できないもので…」ということを言われていました。行きだけでなく、帰りも歩いて帰っておられました。そこまでして、プエデのスクールに通っていただいていることに、とてもありがたいな〜と感じました。

そして、夕方は夕食の準備など家事がとても大変です。また自分の仕事の都合もあります。そんな中で、行きと帰りに子どもと一緒に歩いて行き来する時間を確保されておられることのすごさに気がつきました。「自分にはこんなに子どものためにはできない…」と感じるほどでした。

この子がまだ年齢が低いうちは気づかないかもしれませんが、毎回毎回一緒に歩いてスクールに通ってもらったという経験は、だんだんと成長していくうちに「自分がサッカーをするために、親にここまで支えてもらった」と気づく日がくるかもしれないと想像するようになりました。

周りの支えに気づくことから、少しずつ感謝の気持ちが持てるようになるのかもしれません。それを初めて伝えるのは、親のやることなのかもしれないと思いました。

また、本人の視点に立つと、毎回毎回自分の足で歩いて通っている…もし、サッカーをそこまでやりたくなければ、おそらく途中で面倒になり、通うのをやめてしまうかもしれません。そんな自分の心と向き合う機会、対話する機会をつくっておられたのかもしれないと思いました。

この子は高学年になったときに、自転車で移動するようになりました。そして、中学生になってからは、始めは道順がわからない会場に移動する際は、おうちの方と自転車で来ていましたが、だんだんと自分ひとりで自転車で来て活動に参加するようになりました。

少しずつ成長した彼の自立・自律した精神力

こうして、だんだんと段階を経て、「自分の足で通う」ことができるようになったこの子の成長を学ぶ機会をいただきました。

中学生になった彼は、とても苦しんでいました。体が小さかったこと、まだまだ体が思い通りに動かなかったこともあり、ボールが大きくなり、コートも大きくなり、体力的な要素が大きく要求される中学生のサッカーへの切り替わりの場面で壁にぶち当たっていました。

それでも、へこたれることはありませんでした。
「自分はサッカーが好きでやっている!!」と、確固とした意志があったからだと思います。自分のことは自分でできるという自信と自立心がしっかりと備わっていました。そして、苦しくても上手くなりたいからコツコツと取り組み続けていくんだという自己コントロール(自律)の力がしっかりと根付いていて、苦しい場面に出会ったり、できないことに出会ったりしても、投げ出してしまうことはありませんでした。

周りのなかまと比べて、ボールを扱う技術も劣っていたところ、そういった自分の足りないことを「走って」カバーすればいいことに気づいたようでした。

かなり、長い時間苦しみましたが、そこに気づいてからはだんだんとできることが増えていき、サッカーも少しずつ上達していきました。

おうちの方が何年もかけてコツコツと一緒に取り組んで来られた「自分の足で通う」ということが、彼の心をしっかりと支えていたと感じます。時間がつくれないとこの取り組みは実践できません。しかし、私が感じたことは、この取り組みは、子どもと一緒に取り組み続けるということが1番のポイントだということです。

つまり、このポイントを押さえれば、他にも方法を編み出すことができるのではないかということです。この学びから、息子と一緒にランニング(ウォーキング)をすることを考えました。この子とおうちの方に出会えたことを大変感謝しておりますし、とてもありがたい学びをさせていただいたな〜と感じております。

「自分の足で通う」ことのまとめ

プエデでは、「自分のことは自分でやる!」ということを日頃の活動から大切にしております。これは、プエデの5つの約束に入れて、クラブで大切にしていることの1つです。

「自分の足で通う」ことを親子で実践されたことによって、「自分のことは自分でやる!」という習慣となり、そこから少しずつ「できる」に近づくことを増やすことができたのではないかとお察ししております。

私もこの実践をまねて、息子たちが保育園に登園するときに、一緒に歩いて登園しました。私に朝比較的時間があることと、園が家から近いこともあり、可能な限りではありましたが継続して取り組むことができました。これによって、息子たちが精神的に成長したかどうかまでは感じられませんでしたが、五感が刺激され、季節の変わり目や周りの変化に気づく感性が高まったように感じています。

特に次男は、車が通るたびに、車の名前を教えてくれるくらい周りの様子を見るようになり、なかなか進まず、園になかなかたどり着けないようになりました(笑)。こうした親子で会話ができる時間がつくれるということも、「自分の足で通う」という実践のポイントなのかもしれません。

しかしながら、日々の生活の中でなかなか時間をつくり出すことが難しい状況です。また、子どもを自分ひとりで通わせるとなると様々な危険もあります。そんな場合は、別のやり方を考えてみるといいかもしれません。

プエデでは、「自分のことは自分でやる!」という実践として、準備や後始末を自分でやるということを活動の中で取り組んでいます。ゴールを自分たちで運ぶ、ボールの空気を自分たちで入れる、など、日々の活動でみんなで取り組んでいます。私も一緒に取り組む機会をつくっています。また、利用する施設で出会う方に進んであいさつをすることも実践しています。自然で、相手が気持ちがよくなるようなあいさつをしようとみんなで一緒に取り組んでいます。まだまだ不十分なところもありますが、大人も含めて、みんなでやることで「当たり前」のレベルがぐっと高まります。

また、自分の荷物は自分で持つ、自分のかばん(の中身)は自分で準備をするなどの、身辺自立として当たり前のことにもしっかりと取り組みます。ここから進化している子どもは、サッカーをシューズを磨いてきていつもきれいにしているこどもたちもいます。

「自分のことは自分でやる!」ということが、自立・自律の第1歩だと考えております。また、これを実践し続けることによって、自信につながり、やがては成長し続ける人間になることにつながっていくと考えております。ぜひ、これを読んでくださったみなさまも、できることから一緒に始めてみませんか?

この記事が誰かの役に立てますよう、願っております。